■武蔵野ときのこ 花笠 薫
 私は武蔵野が好きで曲作りも約三分の一は武蔵野を散歩しながら作る。パーティーや盛り場等で賑やかに飲んで騒いだ次の日、静かな武蔵野を歩く・・・・このギャップが心地いいのである。秋になれば色々なキノコが発生する(春、夏に発生する種もあるが)が、武蔵野ではこれまでに百種余りのキノコと出逢って来た。キノコと言えば植物と思っている方も多いようだが、これは菌類である。自然界は動物界・植物界・菌界で構成されている事が分かったのは比較的近年になので、日本のキノコ学がほとんど一般的に理解されていないのは当然かも知れない。動物も植物も生命活動が終わると菌によって分解され土に帰る。ミクロの世界にこそ真実が隠れていると言えるのだが、大多数の人達は関心を示さない。従ってキノコの本質は認知されていないに等しいと言えるだろう。例えば「香り松茸味シメジ」と言うけれどそんなに美味しいかな?と言う人がいる。美味しくないのは当然で、売られている物は当初ヒラタケをシメジとして売ってたり、ブナシメジをその後ホンシメジ等として売っているのである。共にシメジの本流30位にも入らない、しかも養殖物だ。エノキダケにしても言わばモヤシと言う物で、傘の開いたナメコ以上のぬめりを持つ本物のエノキダケの方は知られていない。ちなみに本物は二・三本鍋に入れただけで十分なコクとダシが出る。エノキの味も一級品で近所の公園内でもよく取って来るが、そんな場所でさえ誰も振り向かないと言う事なのだろう。生命力強く、真冬でもどんどん発生する(雪をかぶっても発生)キノコだ。しかし味を云々言っているうちはいいのだが、薬効となると事は重大である。漢方で霊芝や冬虫夏草が話題に良く出るが、実態を知る人は少ない。実は二年前、私が肝炎で入院した時保存してあったサルノコシカケを飲んでみたのである。結果確かに良く効いたようで5000にも達していたGPTが正常に戻ったのである。サルノコシカケと言ってもあまりに種類が多いが、保存してあったものはカワラタケと言う武蔵野にはごく普通に発生しているものだ。このキノコは胞子が多く、霊芝の数倍の薬効と言われる物だが、しかしその胞子が充実している時期に取らなければ薬効はなく、又、乾燥の手順も正しくクリアされた物でなければならない。我が家を訪れる知人達が自然キノコの味をほめてくれたり、薬用酒の効きめに驚いてくれたりする。そうした知人の勧めもあって、本にしてみようかと思うようになった。仕事のあい間に書いたキノコ達のプロフィール100余、せめて300以上はと思っているから完成はしばらくかかるだろう。それにしても自然から学ぶ事は無限なのに、何と人は自然を振り向かなくなってしまったのか・・・・武蔵野は年々姿を消してゆく。