■毒キノコの知識 花笠 薫
 きのこがこわいと感じる原因は、毒きのこの存在があるためである。しかし、山菜野草の毒種等もそうだが、意外に確認されてる毒きのこの種類は少なく、これに的をしぼってさがそうとしたらこれはかなりむずかしいように思える。かと言ってほとんどのきのこは安全だと言う事ではなく、むしろその逆でまだまだ知られてない毒きのこが今後も出てくると思われる。従って正体のわからないきのこに対しては十分警戒して頂きたい。昔しから良く縦にさけるキノコ・地味な色のキノコは安全と言われるが、これは全くあてにならないばかりかむしろ逆である。縦にさけない毒キノコで思いあたるのはニセクロハツぐらいで、あとはほとんどさけると言って良い。又、色の美しい派手な姿の毒キノコと言うとベニテングタケぐらいで、他はきわめて地味なタイプが多いと言える。虫や動物が食べて大丈夫だからとか、ナスといためれば良いとか言う話に至っては論外で、まるでうそである。ところが、これらの迷信じみた話は案外根強く、毎年キノコ中毒事故があとをたたない要因のひとつになっていると言えよう。痛ましい中毒事故をなくすためには、まず正しい毒キノコの見分け方が大切だ。次にあげる毒キノコ達は、毒性の強いもの・あるいは中毒例の多いもの達・であり、これらの特徴をしっかりととらえておいて頂きたい。
◎ ドクツルタケ・シロタマゴテングタケ・タマゴテングタケ(主に東北・北海道に多い)
猛毒キノコの横綱達で、一本以上食べると3日以内に死亡、どこの山中にも発生する。
いずれも根本にツボ・そしてツバを持ち、ヒダ柄とともに白色。テングタケ科のキノコは、ベニテングタケ・テングタケ等、有毒性が多く、まだまだ新たな毒キノコがあると思われる。ただし、このテングタケ科のキノコは、ひと目でそれとわかる特徴を持つのが救いで、特にツボとツバのあるものを見つけたらうかつに手を出してはいけない。
◎ クサウラベニタケ・イッポンシメジ・中毒例が多いので注意しなければならない種類である。
両者ともイッポンシメジ科で、弱い粉臭や温和な味はこの種に共通し決めてにはならない。
肉色のヒダが見分け方のポイント。クサウラベニタケは絹糸光沢があり、肉はうすく、茎は中空でやわらかい。ただし、色が濃く、根本の太まる、シメジに類似したコイイロキクサウラベニタケもあり、このタイプは特に注意する必要がある。しかも幼菌から若いうちはヒダが白色であるため実にまぎらわしい。
以前そうした若いコイイロクサウラベニタケをそうとは知らず採って来た事がある。
ただ何となく勘でその種だけを別の袋に入れておいた。家に帰って採って来たキノコを整理していたら、山中にあった時白色だったヒダが肉色を帯びている。やはりおかしいと思い良く調べて見るとクサウラベニタケであり、これがコイイロタイプとの初めての出逢いでもあった。
◎ ニガクリタケ・オオワライタケ・ツキヨタケ・コレラタケ・いずれも木株・倒木・立ち枯れ上に(コレラタケでは更におがくず・木くずのあるゴミ捨て場等、有機質の地上)発生する。
同じ条件に発生する食タケ、ナラタケ・センボンイチメガサ・クリタケ・ムキタケ・シイタケ・等とまちがえないよう注意しなければならない。猛毒のニガクリタケやオオワライタケは黄色で目立つばかりでなく、両者ともかんで見ると強い苦みがあってわかりやすいが、ツキヨタケは大変まちがえやすく、中毒例が多いので要注意。発光性は夜でなければ試す事が出来ないので、縦にさき、しんに黒色〜黒紫色のシミがないかを良く確認すべきである。猛毒コレラタケはこれと言うはっきりした決め手はなく、混同しやすおセンボンイチメガサ・ナラタケ・ナラタケモドキ・ムササビタケ等の特徴を考えあわせ、しっかりした同定をすべきである。そしてちょっとでも不安が残る場合は手を出すべきでない。
◎ ニセクロハツ・ドクササゴ
両者とも猛毒種だが見分け方ははっきりしている。ニセクロハツでは不安があればクロハツ自体を避ければ問題ないし、傷をつけて見る事によってはっきり区別出来る。クロハツは傷つけると赤色に変化、そのあと黒色に変わるが、ニセクロハツでは黒色には変色しない。ドクササゴは褐色の中央がくぼむじょうご形、ヒダは垂生、とりあげると根元に落ち葉がふちゃくする等の特徴を覚えておこう。
◎ ハナホウキタケ・キホウキタケ・コガネホウキタケ・ホウキタケ科はこれと言った決め手がなく、見分け方がむずかしい。成長すればなおさらの事である。この種だけはかなり体験を重ねないと無理?救いは毒性がそれ程強くなく、命に別状はない点であろうか。しかし自信がない場合はうかつに手を出さない方が良い。
過去の中毒例を見ると意外にその種が限られている。これは同じキノコにくり返し手を出していると言う事で、かなりキノコを見なれた人でも感(勘)ちがいする場合があるようだ。ターゲットにされやすいキノコに類似した毒タケがある事を忘れないようにしたい。特に、同じキノコなのにかなりの変化がある点をしっかり認識すべきである。又、サクラタケはゆでこぼし、サマツモドキやカキシメジは2ヶ月以上の塩蔵により食用とされるが、そのまま利用すれば中毒すると言った処理上の事故、ヒトヨタケ・ホテイジメジのように酒と一緒に食べて中毒する、いわば食べ合わせの中毒例があるもの等、食・毒両面からとらえなければいけないキノコもあり、これらの特徴もしっかり覚えておきたい。